- お坊さんの日常を知りたい。
- お葬式や法事がない時に、お坊さんは何をしているの?
あなたが『お坊さん』と聞いてイメージするのは、お坊さんのどのような姿でしょうか?
たぶん【お経を読んでいる姿】ではないですか?
お経を読んでいる姿ということは、お坊さんがお葬式や法事などをしている時のイメージですよね。
じゃあ、お葬式や法事以外の時のお坊さんの姿はどんなイメージですか?
急にイメージしにくくなりませんか?
イメージできても、せいぜい【掃除をしている姿】くらいでしょう。
そうなんです、お坊さんが普段何をしているのか知っている人なんてほぼいないんです。
だから、「お坊さんなんて、お葬式と法事のとき以外はテレビでも観てるんでしょ?」なんて言う人もいます。
あまり表には出ていませんが、お坊さんは意外とやることがあるんです。
この記事では『お坊さんが普段は何をしているのか』について詳しく解説しています。
お坊さんに対するイメージが変わると思いますので最後まで読んでみてください。
お坊さんは【普通の生活】をしている

あなたは、お坊さんがどんな生活をしているか知っていますか?
お坊さんは特殊な生活をしているように思われてしまうんですけど、じつは、多くの人と同じように普通の生活をしてます。
べつに、ずっと座禅をしているわけじゃないし、一日中お寺の本堂にこもっているわけでもない。
一般の人よりも少しだけ【早起き】はしているかもしれませんが、それくらいですよ。
普通にテレビを観るし、パソコンやスマホだって触るし、時間があれば買い物とか旅行もします。
よく誤解されますが、お坊さんだって食事のときには肉や魚を食べています。
お坊さんの食事に関してはよく質問されるので『お坊さんは肉を食べてます!お坊さんなのに、なぜ肉を食べるのか。』の記事を読んでみてください。
しかも、奥さんに子どもだっていますからね。
子どもがいるということは・・・そういうことも普通にしているんですよ。
なので、お坊さんというのは、生活自体は特別なことなんて何もしていません。
お坊さんは、面白くないほど普通の生活をしているんですよね。
お坊さんが普段していること

お坊さんがごく普通の生活をしていることはお分かりいただけましたよね。
では、次に、お坊さんが【仕事】として普段は何をしているのか、というところを紹介していきます。
お寺の敷地内の掃除や植栽管理
まずは、外で毎日やっていることから紹介します。
お坊さんが外で毎日やっていることはお寺の敷地内の掃除や植栽管理です。
お寺には基本的にたくさんの『木』があります。木があるということは、時期がくれば葉が落ちます。
それを放っておくと敷地内が落ち葉だらけになるので、それを掃除しなきゃいけません。
「じゃあ、落ち葉が少ない『常緑樹』を植えたらいいのに。」って言うかもしれませんが、常緑樹だって一年中少しずつパラパラと葉が落ちるんですよね。
だから、落ち葉が1つも無いなんていう日はほぼありません。
また、春先からは『雑草』がグングン伸びてきます。それを放っておくと敷地内が雑草だらけになるので、ちゃんと除草をしなくてはダメです。
とはいえ、すべての雑草を手で抜いていたらキリがありませんので、手作業のところと除草剤を使うところに分けています。
除草剤は【墓地の通路】など広いスペースのところで使うことが多いですね。
ちなみに、除草剤は【液体タイプ】と【粒剤タイプ】があるので、上手に使い分けるとキレイに雑草を処理できますよ。
たまに「お墓の近くで除草剤を使ってはいけない。」とか言う人がいますが、使っても大した問題はありません。
あと、背の低い樹木や小さな植木などは、簡単に切りそろえる程度のことはしなくてはいけません。
もちろん何メートルもあるような大きな木とかは業者さんに依頼しますけどね。
すべて業者さんに依頼すると莫大なお金が必要になるので、お坊さんはできるだけ自分でやらなきゃダメなんです。
なので、ほとんど一年中、お坊さんはお寺の敷地内の掃除や植栽管理をしています。
接客や電話対応
お坊さんは、毎日のように接客や電話対応をしています。
お寺にいると、毎日のようにお客さんが来ます。
基本的には、みんなお墓参りのためにお寺に来ますが、他の用事としては【法事の申込み】に来る人が多いです。
あと、お盆の前など【行事に関する申込み】に来る場合もあります。もちろん、ただ何となくお寺に寄ったという人もたくさんいますよ。
そのような信者さんたちの応対はお坊さんの大事な仕事です。
お坊さんというのは【人気商売】の面もありますから、接客というのは手を抜くことができないんですよね。
そして、お寺には毎日のように電話も来ます。
信者さんからの問い合わせや申込み、そして付き合いのある業者さんからの連絡、あとはとても迷惑な営業電話など、電話の内容はいろいろです。
あの営業電話って非常にうっとうしいんですけど、事前に回避することはできないんですかね?
電話っていうのは相手の時間を無条件に奪うじゃないですか?
だから、僕は電話をするときには時間帯に気をつけたり、いかに要件を短く伝えるかを考えます。
それなのに、忙しいときに限って、「◯◯代理店の△△と申しますが、従来のものよりもお安くなるプランのご案内で・・・。」なんて営業電話が来たらホンマに腹が立つんです。
電話を切ったあとに「オマエのところだけは絶対に買わん!」と思っています。
何か良い対策があったらぜひ教えてください。
勉強
お坊さんは、仏教をできるだけ多くの人に伝えることが本来の仕事です。
お釈迦様が教えてくれたことは本当にたくさんありますので、お坊さんはそれらの教えを『勉強』しなくちゃダメなんですよね。
たくさん勉強をして、それを全部伝えなきゃいけません。
でも、お釈迦様の教えというのは、多くの人がいろんな解釈をしていて、やたらと難しいんですよ。本なんかを読んでいてもサッパリ分かりませんが、そこを頑張って勉強しなきゃダメなんです。
それに、勉強するのは仏教のことだけではありません。一般教養はもちろん、今後はITのことも知っておかないとダメですよね。
あとは、伝え方の勉強も大事です。
人に話を聞いてもらって、しっかり伝えるのってホンマに難しい。お坊さんになって20年以上、今までいろんな話をしてきましてが、どうやったらより伝わるのかいまだに悩みます。
なので、お坊さんは時間があれば積極的にいろんな勉強をしなくてはいけません・・・本当はね。
お寺の経理
普通のお寺は、住職とその家族の数人で運営していることがほとんどです。
だから、会社のように経理部なんかありません。
多くの場合、住職がお寺の経理を担当しています。
昔のお寺の経理はけっこう【雑】だったので、いわゆる『どんぶり勘定』でした。
本来であればお寺の収入として計上しなきゃいけないものを、そのまま住職の懐へ入れてしまうことも多かったようです。
だから、いろんな人から【坊主丸儲け】なんて言われたんですよね。
しかし、今はそういうわけにはいきません。ちゃんと管理をしないと、税務署から目をつけられて熱烈指導を受けるハメになります。
とはいえ、住職という仕事は【お寺の支出】と【個人の支出】の線引きがけっこう曖昧なんですよね。
ですから、お寺と税務署との『見解の相違』でモメることもしばしば。
そのため、最近では住職さんたち自身も経理については厳しくなっており、もはや昔のような『どんぶり勘定』なんかできません。
法事の準備
ほとんどのお寺では、土曜日、日曜日、祝日には『法事』が入っています。
法事をするには、
- 本堂や参列者の控室などの掃除やセッティング
- 塔婆を書く
- 生花の手配
- 石材店の手配
- 料理の手配
など、いろんな法事の準備をしなきゃいけません。
これが地味に時間がかかるのです。
でも、法事はほぼ毎週のようにありますから、そうなると準備も毎週やることになります。
ちなみに、『塔婆(とうば)』というのは、よくお墓の後ろに建っている【木の板】のことです。
塔婆には墨を使って文字を書いていますから、墨を乾かす時間が必要です。
なので、もしもあなたが法事などで塔婆を書いてもらうときは、できるだけ前もって依頼をしておきましょう。
お葬式の準備
お寺とお付き合いのある信者さんの家で不幸があれば、そのときはお寺に【お葬式】の依頼が入ります。
お葬式の頻度は、だいたい1ヶ月に数回程度です。
お葬式は、亡くなってからだいたい2〜4日以内に行われますので、急いでお葬式の準備をしなくてはいけません。
まずは、喪主と打ち合わせをして、そこから故人の『お戒名』を考えて、位牌などの書き物をします。
お坊さんにとってお葬式の準備で大変なのは、諸々の書き物です。
都心の方であれば簡略化が進んでいて、あまり書くモノはないのですが、地方だと【昔ながらのやり方】をしているところも多いので、いくつも書くモノがあるんですよね。
また、書き物の他には、台帳やパソコンデータなど喪主の家の情報をすべて更新しておいたりします。
行事の準備
お寺というのは、一年を通じていろんな行事があります。
例えば、
- 花まつり
- お盆
- お彼岸
- 除夜の鐘&新年の挨拶回り
- 節分
などです。
お寺によっては、これら以外の行事をしているところもあるでしょう。
行事って、とにかく準備に時間がかかります。どれも2ヶ月前くらいから準備を始めていないとダメなんですよね。
行事の中でもダントツで大変なのが『お盆』の準備ですけどね。
このように、一年中のほとんどが何らかの行事の準備をしています。
また、お寺の運営というのは『地域密着型』ですから、お寺の行事だけではなく、地域の行事にも積極的に参加しなくてはいけません。
そして、お寺の住職はだいたい何らかの重要な役割を担当することになります。そうなると、お寺の仕事だけをやっているわけにもいきません。
地域の行事の準備は、お寺の行事のときとは全然違いますので、慣れるまでは大変なんですよね。
しかし、大変な分だけお寺の存在をアピールできるので住職さんたちは頑張っているのです。
人によっては『講演』
お坊さんの中には抜群に話の上手な人がいます。
あるいは、とても知識が豊富で本を出すようなお坊さんもいます。
そのようなお坊さんたちには、『講演』の依頼が来たりするんですよね。
ですから、お坊さんの中でも人によっては『講演』をしています。
講演となると、長時間いろいろと話をしなきゃいけないわけですから、それに向けての準備も時間がかかりますよね。
お寺の仕事をしながら講演の準備もするとなるとかなり忙しいはずです。
ですから、実際のところ、講演を依頼されるような優秀なお坊さんには、なかなか会って話をすることはできません。
複数のお寺を管理しているお坊さんもいる
お坊さんは、1つのお寺だけを管理しているとは限りません。
じつは、複数のお寺を管理しているお坊さんは多いのです。僕が知っているお坊さんの半数以上は複数のお寺を管理していますよ。
ちなみに、複数のお寺を管理する場合、メインのお寺以外のお寺を『兼務寺(けんむでら)』と言ったりします。
兼務寺があると大変ですよ。兼務寺が1つあるだけで、単純計算ですが仕事が2倍になっちゃうわけですから。
住職さんの姿をあまり見ないようなら、もしかすると他に兼務寺があるのかもしれませんね。
霊園を管理しているお坊さんもいる
ここ数年で、いろんなところに霊園ができています。
霊園というのは、宗教や宗派に関係なく自由にお墓を建てられる集合墓地のことをいいます。
宗教や宗派が関係ないということは、面倒くさい【お寺とのお付き合い】をせずにお墓を持つことができるんです。
ですから、「お寺との付き合いはイヤだ!お墓だけがあればいい!」という人にとっては霊園一択でしょう。
そんな便利な霊園ですが、じつは霊園を管理するためには宗教法人が管理主体となるという決まりがあるのです。
霊園はお墓を扱うわけですから、会社のように「倒産しましたから、もうこれで終わりです。」というわけにはいきません。
ですから、税制面で優遇されて会社よりも長く存続できる宗教法人がずっと面倒をみていきなさい、ということなんですよね。
なので、お坊さんの中には霊園を管理しているお坊さんもいるのです。
ちなみに、僕のいる寺でも霊園を管理しています。
霊園の管理って意外と大変なんですよ。霊園は土地が広いので、当然ながら掃除や植栽管理が大変です。
それに、いろんな宗教や宗派の人を受け入れるわけですから、管理する側もいろんな宗教や宗派について最低限のことは知っておかなきゃいけない。
そして、霊園にお墓を建てる人は、基本的に【宗教に無関心】な人たちが多いです。
だから、お墓参りをせずに放置しちゃう人も多く、そのような人たちの多くは年間の管理料を滞納します。
その督促なんかも僕たち霊園管理者の仕事なのです。
お坊さん以外の仕事をする人が多い

あなたが「お坊さんは普段何をしているのかな?」と思うってことは、お坊さんの日頃の様子が見えないからです。
つまり、あなたがお寺に行っても、お坊さんの姿をあまり見ることがないってことですよね?
となれば、そのお寺のお坊さんは他の仕事もしているのでしょう。
というのも、お坊さんの中には『お坊さん以外の仕事』もしている人が多いのです。
そのようなお坊さんは、土日祝日は法事があるのでお寺にいますが、平日は【お坊さん以外の仕事】をしています。
じつは、お坊さんの中で【お坊さん以外の仕事もしている人】の割合は非常に多くて、その割合はなんと70%!
つまり、お坊さんは基本的に他の仕事をしなきゃ生活ができないということなんです。
よく、【坊主丸儲け】なんて言われますが、それは昔のお坊さんの話。今のお坊さんたちは事情がまったく違うんですよね。
じゃあ、残り30%のお坊さんがみんな余裕のある生活ができるかというと、そんなこともないのです。
お寺の仕事だけで余裕のある生活ができるのなんて、残り30%の中でもさらに【ほんの数%のお坊さん】だけなんですよ。
たまに、「お坊さんはお金持ちだし、私は坊さんと結婚したいな♪」なんて言う女性がいますが、それは絶対にヤメた方がいいです。
まず、ほとんどのお坊さんは【お金持ち】ではありませんし、その他の理由でもお坊さんは絶対に結婚してはいけない相手なのです。
お坊さんとの結婚に関しては、『【僧侶が本気で警告!】お坊さんと結婚したい?それはやめた方がいい。』の記事を読んでみてください。
お坊さんの収入なんて、みんなが想像するよりずっと少ないです。
だから、他の仕事もしなきゃいけないお坊さんのことを、「まったく、住職のくせに全然お寺にいないじゃないか!」なんて責めないであげてくださいね。
まとめ:お坊さんは、お葬式や法事の他にもたくさんやることがあります。
お坊さんは、お葬式や法事の他にも意外とやることがあります。
例えば、
- お寺の敷地内の掃除
- 接客や電話対応
- 勉強
- お寺の経理
- 法事の準備
- お葬式の準備
- 行事の準備
- 人によっては『講演』
- 複数のお寺の管理
- 霊園の管理
などです。
ヒマそうに見えるかもしれませんが、じつはいろいろやってるんですよ。
しかし、多くのお坊さんが普段やっているのは『お坊さん以外の仕事』なんですよね。
お坊さんの70%は、お寺の収入だけでは生活できないので、法事の依頼があまりない【平日】は他の仕事をしています。
もしかすると、あなたとお付き合いのあるお寺では『あまり住職の姿を見ない』ということがあるかもしれません。
それはおそらく、住職が普段は【お坊さん以外の仕事】をしているのでしょう。
本当にヒマなお坊さんもいるのですが、多くのお坊さんは意外と忙しいということを知っていだだきたいなと思います。
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