- お坊さんと話をするときのおすすめの話題10項目
- 法要後にある食事でのお坊さんの本音
お通夜や法事の後でお坊さんと一緒に食事をするとき、お坊さんと何を話せばいいのか分からず困ったことはありませんか?
お坊さんが相手だと気をつかってしまい、なかなか話が続かなくて気まずいですよね。
そんなときは、お坊さんが答えやすいような質問をしてあげるといいですよ。
この記事では【お坊さんと話をしやすい話題】を10項目紹介しています。
最後まで読めば、お坊さんと少なくとも30分くらいは話をしていられますので、ぜひ参考にしてみてください。
これで間を持たせよう!お坊さんとの話題10選
私たちは話をすることで互いに打ち解け、理解をし合い、信頼を築いていきます。
なので、お坊さんとも積極的に話をして、良い信頼関係を築いてください。
あなただって何だかよく知らないお坊さんに亡くなった家族やご先祖様の供養を任せたくはありませんよね?
ということで、お坊さんとの会話で話題に困ったら、以下に挙げていく10項目の話をしてみてください。
そのお坊さんの属する【宗派の教義】
お坊さんのほとんどは、◯◯宗△△派というような宗派団体に所属しています。
そして、同じ仏教ではあっても宗派ごとに教義やお経が違います。
お坊さんというのは、それぞれに【自分の属している宗派が一番優れている】と思っている人が多いのです。
そこで、
仏教にはいろんな宗派があると思いますが、(そちら様のお寺の宗派である)◯◯宗はどのような教えなんですか?他の宗派との《一番の違い》はどんなことですか?不勉強で申し訳ありませんが、興味があるので教えてもらえませんか?
と聞いてみてください。
お坊さんなら自分が属している宗派の教えを説明できますので、いろいろと話をしてくれるでしょう。
でも、お坊さんによっては、話し出すと止まらない話題なので、その点はあらかじめご了承ください。
そのお坊さんのいるお寺の歴史や行事について
お寺ごとに歴史や規模の大きさはまったく違います。
お坊さんは自分がいるお寺のことを誰よりも誇りに思っているので、
◯◯寺さんは由緒あるお寺だと思いますが、どのくらいの歴史(創建からの年月)があるのですか?
と聞いてみてください。
お坊さんは、自分のいるお寺のことに興味を持ってもらえると嬉しいんですよね。
お寺に関する歴史というのは、お坊さんにとって話しやすいため、ぜひ話題に取り上げてみてください。
また、催されている年中行事もお寺によって違いますので、
やはり長い歴史があるんですねぇ。ところで、○○寺さんにはどんな行事があるのですか?
と質問してみましょう。お寺の年間の流れを詳しく説明してくれますよ。
ちなみに、お盆以外にもたくさんの行事をしているお寺は『ちゃんとしたお寺』ですから信頼できます。
ただし、ちゃんと行事をするお寺は、他の事にもしっかりと取り組むので、『一日葬』など最近の【略式の法要】に関して良く思わない傾向にあります。
そのお坊さんの修行中の話
正式に【お坊さん(僧侶)】となるためには宗派ごとに決められた『修行』をしなければなりません。
修行の内容は宗派ごとでまったく違います。
一般的なイメージの【山やお寺にこもる修行】をする宗派があれば、厳しい修行ではなく説法を第一に考える宗派もあります。
修行が厳しい宗派は大変ですよ、あなたが想像するよりもっとキツい思いをしながら修行をしていることでしょう。
しかし、キツい修行を経験したからこそ得られるものがたくさんあります。それがお坊さんにとって『僧侶としての自信や誇り』になるんですよね。
ですから、
お坊さんの修行ってとても大変そうですが、今までにどんな修行をされたんですか?
なんていう質問が来たら、たぶん話が止まらなくなるかもしれませんよ。
執り行った法要の意味
お坊さんと一緒に食事をするということは、お通夜や法事など何らかの法要があるわけです。
あなたは、その法要にどんな意味があるかご存じですか?
もしも知らなかったり、知っていてもさらに詳しく知りたいという場合は、お坊さんに、
今日はありがとうございました。少し伺いたいのですが、今日の法要(お通夜・法事など)にはどのような意味があるのでしょうか?今後の供養のためにもちゃんと知っておきたいので教えていただけますか?
というようなカンジで聞いてみるといいでしょう。
じつは、この質問はとても大事なことを尋ねています。
会話のキッカケをつくることはもちろんですが、これをしっかり説明できるお坊さんでないと法要をしてもらう意味がありません。
法要の意味もわからずお勤めをしたところで何の供養にもなりませんので、この質問はちゃんとしたお坊さんなのかどうかを見極めるポイントにもなります。
お坊さんならではの苦労話
お坊さんというのは、何となく『世間の人たちとは少し違う人種』のように見られるんですよね。
普通の人であれば何でもないような行動でも、それをお坊さんがすると違和感を与えてしまったりします。
例えば、私の場合は肉や魚の料理を食べるときに人目が気になります。
法要後の食事に同席させていただくと、出てくる料理の中に『ローストビーフ』とか『魚の刺身』があるわけで、どう見ても美味しいに決まってるんですよね。
それでいつも葛藤します、本当は最初から魚の刺身に行きたい、でも、お坊さんが最初に箸をつけたのが魚っていうのも・・・ねぇ。だから、なるべく肉や魚は最後にいただくようにしています。
と、こんな具合で『お坊さんならではの苦労』があるので、それを聞いてあげてください。
お坊さんて、必ず朝早く起きるとか規律正しい生活をしているイメージなんですけど、普段の生活で気をつけていることや、お坊さんならではの苦労とかあるんですか?
と聞いてみましょう。
たぶんいっぱい出てきますよ、坊主頭のこと、正座のこと、結婚のこと、などなど。
そして、この話題は比較的『笑える面白い話』が出てきやすい分野だと思います。
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霊的&不思議な珍しい体験談
お坊さんといえば、何か霊的な体験や不思議な体験をしていそうなイメージがありませんか?
確かに、お坊さんの中には信じられないような体験をしている人が実際にいるんですよね。
私は29年お坊さんをしていますが、そのような体験はありません。
どうやら、これはお坊さんとしてではなく、人間としての資質のようなものらしく、人によっては何度も不思議なことが起こるようです。
あなたの前にいるお坊さんも何か珍しい体験をしているかもしれません。
わたしの勝手なイメージですが、お坊さんは霊的な体験や不思議な体験をすることが他の人よりも多そうです。もしかして、今までに何か体験されたりしましたか?
と話をしてみてください。
私のような鈍感なお坊さんの場合は「そういう体験は特にないんですよねぇ。」となってしまいますが、敏感なお坊さんだと「じつは昔ね・・・」みたいな話の流れになるかもしれませんよ。
ただし、もしもそれが怖い話であった場合、夜に思い出してトイレに行けなくなっても責任は負いかねますのでご了承ください。
お墓やお仏壇のお参り方法
あなたは、お墓参りの正しい手順をご存じですか?
あなたの家にあるお仏壇の中、本当にその配置で大丈夫ですか?
お墓参りとお仏壇参り、あなたがやっているその作法は間違っていませんか?
仏事というのは何かと決まりごとが多いです。
とはいえ、仏事において【コレが絶対に正しい】というものはないのですが、せっかくですから仏事の基本的なところをお坊さんに聞いておくといいですよ。
質問のしかたは、そのまま、
お墓やお仏壇のお参りのやり方ですが、正しい手順を教えてもらえませんか?いつも見よう見まねでお参りしていたので、これを機に正式なやり方を知っておきたいのです。
と聞いてみてください。
けっこう詳しく教えてもらえると思いますよ、お墓やお仏壇の話は完全にお坊さんの得意分野ですからね。
得意分野のことは聞かれてもないようなことまで答えてしまうものですから、あなたにとっても得する情報が得られる質問ではないかと思います。
もしかすると、今まで間違えたやり方でお参りをしていたかもしれませんよ。
法要のやり方やお墓の形態など、新しいカタチについて思うこと
最近ではあらゆる法要が簡略化されています。
お葬式のやり方では、ここ数年で『一日葬』とよばれる【お通夜を省略したお葬式】が急増しています。さらには、お葬式さえも省略し、最初から火葬場へ行ってしまう『直葬』なんかもあります。
その他の法要のやり方も昔に比べるとずいぶん簡略化されているんですよね。
お墓に関しても、正面に『◯◯家之墓』と刻まれた昔ながらの墓石ではなく、最近ではいろんな形の墓石があり、彫刻デザインの種類も豊富にあります。また、納骨室や樹木葬のように、お墓そのものを持たないという選択肢も出てきました。
この仏事の新しいカタチについては、お坊さん達の間でも賛否両論があります。
そこで、
近頃よくチラシやテレビで見かけるのですが、お葬式のやり方もずいぶんと変わってきていますね。お墓もいろんな形があるようですけど、お寺さんはそういう変化をどう思いますか?
と聞いてみましょう。
返答によって、そのお寺が新しい流れに柔軟な対応ができるのかどうかが分かります。
私の意見ですが、従来のやり方にこだわるお坊さんは要注意です。
伝統を守るのはとても立派なことですが、それだけを続けるお寺はツブれます。
これからの仏教のあり方
仏教は時代に合わせて柔軟に変化していく必要があります。もちろん、根本的な教えの部分を変えてはいけませんが。
現代の日本人は宗教にあまり執着がないので、良くも悪くも宗教に対する考え方が寛容なのだと思います。
しかし、それは意地悪な言い方をすると【宗教には興味がないけれど、とりあえず儀式だけはしておこう】という考え方をしているわけで、それで面倒な部分は次々と簡略化されてしまうのです。
私たちお坊さんは、仏教の中の何を残し、何を省いていくのかを常に考えなければなりません。それが時代に合わせて変化させていくということです。
そこで、
昔に比べて仏様のことをあまりやらなくなっていると思うのです。それが今後は更に進みそうですが、お坊さんは今後の仏教がどうあるべきだとお考えですか?
と尋ねてみてください。
これは全てのお坊さんに課せられた問題です。
もしかすると、他の質問に比べたら返答が遅くなるかもしれません。それくらい難しい問題です。
ですから、この話題は内容が重すぎますので、いくつか他の質問をした後に出した方がよいと思います。
そのお坊さん自身に関する質問
仏事よりも、単純にそこにいるお坊さん自身のことを尋ねてみてもいいと思います。
要するにプライベートなことに関する質問ですね。
そういえば、私の知り合いの美男子僧侶なんかは、法要後の食事の席で明らかにナンパされていたこともありましたね。はい、もちろん私にはそんな経験はありませんよ。
ナンパの例は極端でしたが、そのお坊さんの声がイイとか、立ち振る舞いがとても美しいとか、話がとても面白くて分かりやすいなど、そのお坊さん自身に対してあなたが感じたことを伝えてあげるといいです。
施主とお坊さんの関係である前に、人と人の関係ですから、お互いのことを話している方がどんな話題よりも自然に会話が続くのかもしれません。
お坊さんの方も話しかけにくい
この記事は《あなたからお坊さんに向けて話題を投げかける》ことを前提に書いています。
もちろん私たちお坊さんの方から話しかけることもありますが、それは口下手なお坊さんにとって勇気のいることなんですよね。
しかも、食事の席にいるのは施主側のご家族やご親族ばかり、つまりお坊さんにとっては完全に【アウェー】な状況となります。
自宅での法事のときは、お坊さんが施主の自宅に【おジャマしている】状況で、あまりベラベラと話すのも気が引けるので、じつはお坊さんの方からは話しかけにくいんですよね。
食事の席ではお坊さんが施主の前や横に座ることが多いのですが、施主は他の参列者の相手をするために席を離れてしばらく帰ってきません。
場合によっては施主以外のご家族までいなくなってしまい、お坊さんだけポツンと一人残されてしまうこともあります。
ですから、お坊さんとしては誰かに話しかけてもらえると非常にありがたいのです。
私は今までたくさん食事の席にご一緒させていただいたり法事でご自宅まで行きましたが、話好きな施主だと内心ではホッとしていました。
食事の席は1時間以上にもなるので、その間ずっと私の話し相手になってくださると、まるで施主が仏様のように見えてきます。
誠に勝手なお願いではありますが、あなたの前にお坊さんがいて、しばらく誰とも話をしていないようでしたら、この記事を思い出して、あなたから話しかけてもらえませんか?
まとめ : お坊さんと話すと意外に面白い。どんどん話しかけてください。
お坊さんに話しかける話題はいろいろありますが、お坊さんが答えやすく、そしてあなたにとっても知るメリットがあるだろう、というものを10個選んでみました。
これらの話題でお坊さんに話しかけてもらえれば、話すことがなくて何となく気まずいなんてことは無くなります。
お坊さん側もこれらの話題であれば、自然と話が出てきますし、何より「わぁ、答えやすい話題だ、これは助かる。」と、あなたに対して感謝の気持ちさえ湧いてきます。
お坊さんである私が言うのもなんですが、お坊さんから聞く話って意外と面白いと思いますよ。
仏事は、意味はよく分からないけど【何となく】やっている、という人がとても多いです。
あなたが話しかけることで、それらの意味を専門家であるお坊さんがちゃんと説明してくれるのですから、考え方によってはチャンスなわけです。
話の中で新たな発見があったり、もしかするとあなたの知識に勘違いや誤った認識があるかもしれません。
お坊さんもあなたに話しかけてもらいたいのです。
話しかけてもらえれば、お坊さんもいろいろと話のネタは持ってますから、有意義な時間が過ごせると思いますよ。
ですから、お願いします。
相手がお坊さんだからと距離を置かないで、遠慮せず、どんどん話しかけてください!
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