- お坊さんは、お葬式や法事のときにマスクをするのかどうか。
- お坊さんがマスクをするかしないかを判断するときの基準
- マスクをしないお坊さんにマスクを着用してもらう方法
2020年から『新型コロナウイルス』が大流行して以来、
- 外出時にマスクを着用する
- 手をこまめにアルコール消毒する
というのが当たり前になりましたよね。
また、昔ならマナー違反とされていた【お葬式や法事でのマスク着用】も、今ではごく普通のことになりました。
しかし、お坊さんにとってマスク着用のままお経を読むというのは意外と大変なのです。
そのため、お坊さんはその場の状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしています。
お坊さんの【マスク着用】に関する考え方が分かりますので、興味のある方は最後まで読んでみてください。
お坊さんはお葬式や法事のときにはマスクをしないことがある
新型コロナウィルスが流行した頃は、どこへ行くにも必ず『マスク』をしなくてはいけない状況で、お葬式や法事といった『仏事』のときにもマスク着用は必須でした。
ところが、参列者がみんなマスクをしているにもかかわらず、お坊さんだけマスクをせずにお経を読んでいることがありました。
あれだけ世間では「マスク着用は必須!」と言っていたのに、なぜお坊さんはマスクをしていなかったのでしょうか?
お坊さんも普段はマスクをしていますが、『お経を読むとき』だけはマスクをしないことがあるのです。
お経を読むときだけマスクを外してしまう理由は『マスクを着用しながらお経を読むのがとても苦しいから』です。
お経を読むために、息継ぎをするときは一気に素早く息を吸い込まなければなりません。
しかし、マスクをしていると、息を吸い込んだときにマスクがカポっと口をふさいでしまうんですよね。
だから、そんなときは【吸い込む量を少なく】して【息継ぎの回数を増やす】という方法でお経を読んでいます。
でも、これが長時間になると本当に苦しくて、軽い『酸欠』の状態になってしまうのです。
そのため、お坊さんは状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしているため、場合によってはマスクをしないこともあります。
もちろん、そのときは、
- 参列者の方を向かない
- 参列者に見えるように携帯用のアルコール消毒液を手にかけてからお経を読み始める
という注意をしています。
マスクを着用するかどうかの判断
お坊さんがマスクを着用するかどうかは、そのときの状況を見て判断しています。
ここで、お坊さんがどのような状況で【マスク着用】の判断しているかを紹介します。
マスクをしないと判断するときの状況
まず、お坊さんが『マスクをしないでおこう』と判断するときの状況を紹介します。
お坊さんがマスクをしないのは、
- 十分に広い空間がある室内
- 参列者との距離が十分にあって、なおかつ換気されている室内
- 参列者との必要な距離を保つことができる屋外
といった状況のときです。
いわゆる、『三密(密集・密接・密閉)』を避けられる状況です。
まぁ、『三密』を避けたからといって、絶対に感染をさせない・しない、というわけではないんですけどね。
絶対ではないにしろ、リスクを最小限にできる状況であれば、多くのお坊さんはマスクを外してお経を読みます。
もちろん喪主(施主)さんには、前もって「お経を読むときだけはマスクを外させてもらいますね。」と伝えておきます。
これでお坊さんはマスクをせずにお経が読めるので、いつもどおりお経に集中できます。
マスクをしておこうと判断するときの状況
状況によっては『マスクをしないとダメだな』ということも当然あります。
お坊さんがマスクをするのは、
- 十分な広さがない室内
- 参列者との距離があまりとれず、なおかつ換気が不十分な室内
- 屋外だが、参列者との必要な距離を保つことができない
といった状況です。
このような『明らかにマスクの着用が必要』という場合は、苦しくなるのを覚悟でマスクをしながらお経を読みます。
ただ、マスクをしながらお経を読むのは本当に苦しいので、正直言うとお経に集中しづらくなってしまいます。
でも、最近ではマスク内の空間を確保できる構造のものが販売されていますので、以前よりも呼吸がラクになりました。
お葬式でのマスク着用
多くの人が集まる仏事といえば【お葬式】です。
現在でも、お葬式の参列者の多くはマスクを着用しています。
しかし、お葬式の場合はマスクをしないお坊さんもいます。
お坊さんは『お葬式が行われる場所』によってもマスク着用の判断をするので、ここからは【お葬式の場所】ごとに判断の基準を解説していきます。
葬儀社のホール
近年のお葬式は、ほとんどが『葬儀社のホール』で行われます。
葬儀社のホールにはいろんな大きさの部屋がありますが、基本的に多くの参列者を収容できるように設計されていますので、比較的【広い空間】の中でお葬式ができます。
そして、最近のお葬式は【関係の近い人たちだけを招く】というケースがほとんどです。
そうすると、部屋は広いのに人数が少ないという状況になります。
ですから、葬儀社のホールでのお葬式であれば、お坊さんはマスクをせずにお経を読むことが多いです。
私も、信者さんからお葬式の依頼を受けたときに「お葬式の場所は、◯◯葬祭さんの▲▲ホールです。」と言われたら、正直なところホッとします。
しかし、ここ数年で急激に『少人数専用の葬儀ホール』が増えました。
最初から少人数を想定して作られているので、建物自体はもちろん、それぞれの部屋も狭いんですよね。
ただ、狭い分だけホールの使用料などが安くてすむので、小規模のお葬式をしたい人にとってはメリットだらけなんです。
でも、それはお坊さんにとって『お経を読むときもマスクをしなくてはいけない状況』となるので、正直言うと「う~ん、あそこのホールなのかぁ・・・。」というテンションになります。
お寺の本堂
お葬式の式場として『お寺の本堂』を選ぶ人もいます。
お寺の本堂はそれなり大きいので、人との距離を十分にとれるだけの広さがあります。
しかも、お寺の本堂というのは扉や窓が多いので、【換気】という点では葬儀社のホールよりも優秀。
お坊さんとしては、広さも十分だし、しかも換気までしっかりとできますので、お経を読むときでもマスクをしないでいられます。
ですから、お寺の本堂でお葬式をする場合、お坊さんはマスクをしないでお経を読むことが多いです。
ただ、僕はお坊さんになって20年以上経ちますが、残念ながらお寺でお葬式をすることはあまりなかったです。
本堂というのは根本的に【修行をする場所】であるため、葬儀社のホールみたいに『快適な空間』ではないんですよね。
お寺によっては、本堂に椅子がなかったり、空調設備がなかったりします。
本来であれば、お葬式はお寺の本堂でやるのが理想的なのですが、どうしても【使い勝手】に難があるので不人気なんですよね。
喪主の自宅
少し都心から離れた地域などでは、『喪主の自宅』でお葬式をすることも多いです。
お葬式の場所が『喪主の自宅』の場合、お坊さんはマスクをしてお経を読みます。
というのも、参列者の数にもよりますが、自宅の場合はだいたい『三密』の状況になるからです。
よほどの豪邸でなければ参列者全員が必要な距離を空けて座るなんてことはできません。
ですから、お坊さんは『お葬式の場所が喪主の自宅』と聞いたら、その日のお葬式でマスクを外すことはありません。
法事でのマスク着用
人が多く集まる仏事のもう1つは『法事』です。
お葬式ほどではありませんが、多くの人が集まる場面なのでマスク着用が基本です。
そして、お坊さんは、お葬式のときと同じで【法事の場所】によってマスク着用の判断をしています。
お寺の本堂
法事をする場所として1番多いのは『お寺の本堂』です。
先ほども言ったように、基本的にお寺の本堂には十分な広さがあって、しかも換気をしやすいです。
また、法事はお葬式よりも参列者の人数がグンと減りますから、人と人との距離もしっかりと確保できます。
というわけで、お寺の本堂で法事をする場合、お坊さんはマスクをせずにお経を読みます。
葬儀社のホール
最近では、お葬式をした葬儀社のホールで法事を行うケースが増えています。
ただし、お葬式のときとは違い、同じ葬儀社のホールでも比較的小さな部屋を利用して法事をすることになります。
でも、小さな部屋といってもそれなりに広いんですよね。
ですから、よほど狭い部屋でもない限り、葬儀社のホールで法事をする場合、お坊さんはマスクをせずにお経を読むことが多くなります。
とはいえ、少人数専用の葬儀ホールだとそうはいきませんので、ちゃんとマスクを着用しています。
施主の自宅
法事の場所として、お寺の本堂に次いで多いのは『施主の自宅』です。
施主の自宅で法事をする場合はずっとマスク着用ですね。お茶を頂いたとき以外はマスクを外せません。
本来なら、個人宅の一部屋に複数人が入ることが不適切ですし、そんな状況でマスクを外そうもんならメチャクチャ嫌な顔をされました。
でも、最近は自宅でもマスクを着用しない参列者が多くなったので、僕としては少し気がラクになりました。
霊園の法要室
昔とは違って、お墓を【霊園】に建てる人が急増しています。
お寺にお墓があるといろいろ大変なので、みんな霊園にお墓を建てちゃうんですよね。
霊園の方が圧倒的に安いですし、面倒な付き合いもないので、霊園が選ばれるのはごく自然なこと。
それに、ほとんどの霊園には、管理棟の中にちゃんと【法要室】がありますので、法事をするときも便利なんです。
法要室まで完備されているのですから、もはやお寺にお墓を持ちたいなんていう人はいないでしょう。
でも、霊園の法要室というのは、どこの霊園もあまり広くはないんですよね。
なので、霊園の法要室で法事をする場合、お坊さんさんはマスクをしたままお経を読むことが多いです。
お墓の前【=屋外】
新型コロナウィルスが流行った影響でしょうか「室内で法事をするのはイヤだ!」という人がかなり多くなりました。
室内がイヤなら、あとは【屋外】しかなく、屋外で法事をやるには『お墓の前』になるんですよね。
屋外だったら密閉ではなくなるので、しっかりと参列者同士で間隔を空ければ問題ありません。
ですから、屋外となる『お墓の前』で、なおかつ参列者同士で十分な距離を保てる場合、お坊さんはマスクをせずにお経を読みます。
でも、お墓の前の供養というのはデメリットがたくさんなので、僕としてはおすすめしません。
なぜなら、屋外の供養は『天候の影響をあまりに受けすぎる』からです。
お墓の前なら感染の心配が少ないのは確かですが、それ以上に不便なことがあるので注意しましょう。
マスクをしないお坊さんにマスクを着用してもらう方法
これまで、お坊さんがマスクを着用するかどうかを判断する基準について書いてきました。
しかし、「そんなのはお坊さん側で勝手に決めたことじゃないか。」という意見も出るでしょう。
それは、ごもっともです。
たしかに、お坊さん的には「これならマスクなしでOK。」と思っていても、施主や参列者からすれば「ちゃんとマスクしてくれよ!」と思うかもしれません。
ですから、もしもあなたが「お坊さんにもマスクをしてもらいたいなぁ。」と思ったら、それはちゃんとお坊さんに言って大丈夫ですよ。
・・・それはちょっと言いにくいですか?
そんなときは、お坊さんに、
万が一にもお坊さんに感染させてしまうといけませんから、マスクを着けたままお勤めいただいて大丈夫ですよ。
みたいなカンジでマスク着用を促してみてください。
これで、ほとんどのお坊さんは『あっ、マスクを付けてほしいんだな』って気がつきます。
でも、「あぁ、いやいや。マスクしてると苦しくてお経が読めないんですよ。」なんて言うお坊さんがいるかもしれません。
そのお坊さんは、【空気を読めない勘の鈍い人】か【分かっているのに自分の都合だけでマスクを外している】かのどちからでしょう。
もしも後者であった場合は、もうそのお坊さんとは縁を切った方がいいかもしれませんね。
お坊さんの中には【タチの悪いお坊さん】が山ほどいます。
反対に【真面目で誠実なお坊さん】もたくさんいます。
大事な仏様の供養を、【タチの悪いお坊さん】と【真面目で誠実なお坊さん】のどちらにしてもらうのか、それはあなたが決めてかまいませんよ。
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まとめ:お坊さんは状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしている
2020年に大流行した『新型コロナウイルス』の影響で【マスク着用】が当たり前となっています。
お葬式や法事の場合も、マスクを着用している参列者が多いです。
そんな中で、【お坊さんがマスクをしていない】というケースがありますが、お坊さんは状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしています。
マスクをしたままお経を読むのはとても苦しいので、
- 十分に広い空間がある場所
- 参列者との距離が十分にあって、なおかつ換気されている場所
- 参列者との必要な距離を保つことができる屋外
という状況であれば、お経を読むときだけマスクをしないことがあります。
お坊さんとしても、【誰かを感染させてしまうリスク】と【自分が感染してしまうリスク】の両方を負いながら、それでもマスクを外しているのです。
その代わり、決して施主の方を向かないとか、ちゃんとアルコール消毒をしてから法要をする、といった最低限のことはしています。
無理なお願いかもしれませんが、お坊さんの『お経を読んでいる間のマスク着用』に関しては、状況に応じてなにとぞお許しをいただきたいと思います。
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