- お坊さんは税金を払わなくてもいいんでしょ?
- お坊さんは【坊主丸儲け】でお金持ちだからいいよねぇ。
あなたは、どこかで【お坊さんは税金を払わなくてもいい】と聞いたことがありませんか?
お坊さんは、ちょっとの時間お経を読んだだけで何十万円も持って行って、しかも税金まで払わなくてもいいなんて、それはまさに【坊主丸儲け】そのもの。
だから、お坊さんはみんな【お金持ち】である・・・って、そんなワケないでしょ!
お坊さんもしっかりと税金を払っていますよ。
世間には『お坊さん=税金免除』と思っている人があまりに多すぎるのですが、そんなに甘くありません。
この記事では、
- お坊さんやお寺の納税
- お坊さんの収入レベル
について書いています。
ぜひ最後まで読んでいただき、【お坊さんと税金】に対する大きな誤解を無くしてもらいたいと思います。
お寺の収入は『非課税』なの?
これを今まで何回言われたことか・・・。
きっと、【坊主丸儲け】という言葉がどんどん先走っているんですね。
実際にごく一部のお坊さんが派手な生活をするもんだから、さらに【坊主丸儲け】のイメージが付いてしまいます。
でも、じつはそれって大きな誤解なんです。
『お布施』や『寄付』など、【宗教活動】による収入は非課税
まず、あなたに知っておいてほしいことがあるんです。
それは、お布施や寄付などの収入のすべてが【お坊さんの収入】にはならないということです。
お葬式や法事など【宗教活動】で得た収入は、まず1度『お寺の収入(会計)』に入れなきゃいけないんですよ。
そして、お坊さんは【お寺】から給料をもらっているのです。
だから、お坊さんは、
- お寺の収入
- お坊さん個人の収入
この2つを切り離して考えなきゃダメなんですよ。
ここを踏まえた上で、まずは『お寺と税金』について説明していきます。
お寺というのは《宗教法人》です。
普通の会社のように【営利】を目的とする『営利法人』とは違って、【宗教活動】を目的とした《宗教法人》だということです。
お寺のような《宗教法人》は営利を目的としていないので税制面で優遇されているんです。
たとえば、法人の目的どおりに【宗教活動】をして、それで得た収入については、
- 法人税
- 固定資産税
- 法人事業税
- 法人住民税
- 宗教法人の所有財産の相続税
- 不動産取得税
- 印紙税(原則として非課税、ただし一部の取引などは納税義務あり)
- 登録免許税
といった税金が免除されます。
国や地方自治体が、
おたくは多くの人々の心の支えとなる宗教を広めようとしてるんでしょ?べつに『お金儲け』をしてるわけじゃないんだよね?それなら活動をしやすいように税金をオマケしてあげるね♪
と言ってくれているんです。
だから、お寺は宗教活動によって得た収入が『非課税』となるのです。
また、お寺の活動というのは【公益事業】の部類に入ります。
【公益】というくらいですから、利益を追求せず『広くみんなに利用してもらうこと』を目的としています。
みんなのために運営をしている法人だから税金が免除されているわけですね。
逆に言えば、税金を優遇してもらうからには、お寺の活動はちゃんと【公益】でなければいけないんですよね。
例えば、誰でもお参りできるように、昼間はちゃんと門を開放して、いつでも仏様の教えを聞くことができる体制でなきゃダメってことです。
その他にも、地元の人たちの活動のために本堂を利用してもらうとか、地域のお祭りの会場として境内を開放する、というのも公益事業の1つ。
お寺としては、【公益法人】であり税金を優遇してもらっている以上は、しっかりと公益の役割を果たす必要があるのです。
『営利目的』となる収益事業の収入はしっかりと課税される
お寺の収入であっても、『営利目的』となる収益事業の収入には課税されます。
お寺の収入というのは、すべてが【宗教活動】によるものとは限りません。
お寺の収入の中には、
- 不動産の賃貸による収入
- 幼稚園や保育園の経営による収入
など、【宗教活動】とは何の関係もない収入というのもあります。
都市部などでは、お寺の住職が【宗教活動の収入】よりも【不動産の収入】で生活をしている、なんていうことも多いですよ。
でも、不動産の収入というのは『営利目的』となる収益事業の収入なので、これに対してはしっかりと課税されます。
つまり、お寺の収入のすべてが非課税になるなんて、そんな都合のいい話はないんですよね。
お坊さん個人は税金を納めている
お寺は【宗教活動】による収入に対しては非課税です。
じゃあ、お寺から給料をもらっている『お坊さん個人の収入』に対する税金はどうなっているのでしょう?
お坊さん個人の収入については、みなさんと同じように税金を納めています。
基本的にお寺の収入は、『お布施』や『寄付』あるいは墓地の『永代使用料』といったような【非課税となる収入】です。
お坊さんは、その【非課税となる収入】の中から給料をもらっているんだから、必然的にお坊さん個人の収入も非課税・・・とはなりません。
そんなことが許されるほど世間は甘くない。
お坊さんにも、
- 所得税
- 年金
- 健康保険
- 住民税
など、しっかりと課税されているんですよ。
世の中には【お坊さんの収入=税金がすべて免除】だと本気で信じている人がいるので、そこだけは本当に誤解しないでほしい。
「お坊さんは税金払ってないんやろ?エエなぁ、ズルいわぁ~。」って言われるたびにこの説明するんですけど、同じことを何度も説明するのが面倒くさいのでこの記事を書いたんです。
とはいえ、住職の家が『お寺の土地の中にある』という場合は、その土地や家に対する固定資産税はありません。
なぜなら、『お寺の土地の中』に住職の家がある場合、その土地や家は住職個人のものではなく【お寺のもの】だからです。
お寺の土地や家は公益のものですから非課税となります。
あっ、今、
っていう声が聞こえてきました。
もう一度言いますが、お寺の中にある土地や家というのは、すべて【お寺のもの】なんですよね。
つまり、住職はお寺の仕事をするかわりに【お寺の所有する家】に住まわせてもらっている立場ということです。
そして、ちゃんとしている住職はお寺に対して家賃を支払っています。
ですから、もしも他のお坊さんが新たに住職となる場合、以前の住職はその家をすぐに出て行く必要があります。
その土地や家はすべて【お寺のもの】なので、新しい住職に住む権利があるため、すでにお寺と関係のなくなった人をそこに住まわせるわけにはいかないんです。
お寺の住職は、住む家や土地に対する税金を払っていませんが、それゆえ場合によっては問答無用ですぐに出て行かなきゃいけないリスクを抱えているのです。
お坊さんは『坊主丸儲け』だから高収入?
お坊さん個人の収入にもしっかりと課税されていることは分かってもらえましたよね。
でも、
と思っている人もいるでしょうね。
はい、それも大きな誤解ですよ。
じつは、お坊さんの70%は《お坊さんの仕事》だけでは生活ができないのです。
70%のお坊さんは、主な収入は他の仕事から得て、お坊さんの仕事で『アルバイト』程度の収入を得ているんですよ。
それくらい【お坊さんの仕事】というのは儲からないんです。
当たり前ですよ、だってお寺は公益のために運営をしているんですから、お坊さんが【高給取り】であってはダメなんですよ。
しかし、70%のお坊さんは質素な生活でも、残り30%のお坊さんの中で、そのまた【ほんの一部のお坊さん】だけは派手な生活をしています。
お寺を維持していくにはメチャクチャお金がかかります。
しかも、お寺にある仏具は壊れやすいくせに、値段がビックリするほど高いんですから。
だから、ちゃんとお寺にお金を残しておかなきゃいけないので、なかなかお坊さんの給料に回せないんです。
つまり、ほとんどのお坊さんは【坊主丸儲け】なんてできないのが現実なのです。
まとめ:お坊さん個人はしっかりと税金を払っているので【坊主丸儲け】なんて無理!
多くの人は『お坊さんは税金を払わなくてもいい』という大きな【誤解】をしています。
たしかに、お寺は『宗教活動』によって得た収入に対しては非課税となります。
そして、お寺の活動は『公益事業』という扱いになるので、学校や病院などと同じようにいろんな税金が免除されます。
でも、たとえお寺であっても、宗教活動ではなく『収益事業』によって得た収入があれば、それはもちろん課税されます。
ですから、お寺の収入のすべてが非課税となるわけではないんです。
また、お坊さん個人の収入に対してはしっかりと課税されています。
しかも、お坊さんの収入というのはものすごく少なく、お坊さんの70%は他に仕事をしないと生活できないレベルです。
お坊さんというのは、多くの人が思うほどラクなんかできないことを知っておいてほしいと思います。
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