少年よ、大志は抱くな!大きな目標を設定すると人生の幸福度が下がる

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少年よ大志は抱くな

『少年よ大志を抱け』

これは、アメリカの教育者であるクラーク博士の有名な言葉で、

「少年たちよ、大きな夢や目標を持て。その志が大きいほど成し遂げる功績も大きくなり、それだけのエネルギーが君達にはあるのだ。」

という若者に向けたメッセージです。

若者を鼓舞し、希望に満ちた人生を歩んでほしいというクラーク博士の熱い想いが込められています。

しかし、心理学の視点でいうと、幸せな人生を送るためには無理に大志を抱かない方がよいそうです。

この記事では、人生に大きな夢や目標を持つことのデメリットと、正しい目標設定の方法について解説しています。

今よりも肩のチカラが抜けた、適度に気楽な人生を送るためのヒントが分かりますので最後まで読んでみてください。

少しだけ自己紹介

この記事を書いている私『ちょっき』は、お坊さん歴30年。お坊さんに関する裏話や、人間関係の悩みを解消する内容について発信しています。

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大きな目標を持つと人生が苦しくなる?

私は高校生時代に担任の先生から、

「君達には大きな目標を持って生きてもらいたい。」

と言われたことがあります。

これはおそらく、『大きな目標に向かって努力を続けることで人として成長できる。それが人生の幸福なのだ。』みたいな意味で言ったのでしょう。

しかし、先生の言葉によって私たち生徒の人生が苦しいものになってしまうかもしれません。

大きな目標がなくても自然と幸福になる

カナダのアルバータ大学で『人生の幸福度』の推移に関する研究があります。

この研究は、総勢1500人の男女を対象に《人生でどんな変化があったか》を15年程度調査をするという大規模なものでした。

研究の結果、多くの人は、大きな目標がなくても自然と幸福になるということが分かりました。

じつは、人生に大きな目標がなくても、私たちは年齢を重ねるほど自然と幸福を感じやすくなっていくのです。

人生の幸福度の推移を具体的に説明すると以下のとおり。

  • 18歳を境にして30歳までは年齢を重ねるごとに幸福度は右肩上がりで上昇する。
  • 31歳~40歳の間は一旦横ばいになる。
  • 41歳~50歳で幸福度は一度下がっていく。
  • 50歳くらいからは再び幸福度が上昇していく。

このように、私たちの人生の幸福度は、途中で一旦下がるものの長期的には《自然と上昇していく》ということが分かっています。

ちなみに、研究結果によると、逆に最も幸福度が低くなる年齢は【48歳】であり、日本の場合は【49歳~50歳】が最も低くなるそうです。

これは、自分の現状が思い通りいっていないことへの不満や焦りがあったり、子供に使うお金が急増することが原因だと考えられます。

しかし、それは一時的なものであり、その後はまた年齢を重ねるごとに幸福度は増していきます。

大きな目標を持つと幸福度が上がらない

アルバータ大学の研究で、私たちは、大きな目標がなくても自然と幸福になれることが分かりました。

ただし、一部の人は除外されています。

じつは、大きな目標を持っている人は幸福度が上がらないという結果が出たのです。

目標というのは、簡単には達成できないものであり、懸命に努力を積み重ねてようやく成し遂げられるもの。

それが『大きな目標』であれば、さらにハードルが上がり、目標を達成できないこともあります。

このとき、『大きな目標』と『現実』との間に大きなギャップが生まれ、焦りや不安が生じるのです。

ですから、大きな目標を持ち続けている人は、いつも【目標を達成できない自分】に対して焦りや不安を感じます。

さらには、現在の自分を見つめたときに『思い描いていた未来に到達できそうにない』ということにも気づき始めます。

そうなると、どんどんメンタルが悪化し、それにともない人間関係も悪化して、自分の未来に不安を抱えたまま幸福度も下がってしまうのです。

一方で、自分の現状を受け入れ、自分ができることを一生懸命に取り組むことで、時間はかかってもいずれ大きな成果を出せます。

無理することなく大きな成果を出せれば、自然と幸福度も上がっていきます。

ですから、私の高校生時代の担任が言った「大きな目標を持って生きてもらいたい。」というのは個人的な感想にすぎず、生徒に対しては言わない方がよいのです。

生徒の幸福を願うなら、「焦らなくていい。毎日を大事に生きていれば大きなことを成し遂げられる。」くらいのことを言っておいた方がよいのかもしれません。

人間は大きな目標を持つことに不向き

考えてみれば、大きな目標を持つと幸福度が上がらないのは自然なことなのかもしれません。

なぜなら、人間はもともと目の前にある食物を獲ることに集中するような【今を生きるスタイル】が基本的な生存戦略だからです。

まだ見ぬ未来へ思考を巡らすようになったのは比較的最近のことなので、それを無理にやろうとすれば心身ともに疲弊してしまうのも当然でしょう。

ですから、そもそも未来を見越して生きること自体が人間にとっては不向きなのです。

大きな目標を持つかどうかは個人の自由ですが、誰かに言われて無理やり掲げた目標はあなたの幸福度を下げてしまうかもしれません。

幸福な人生を送りたいのであれば、あなた自身から自然と沸き上がった目標だけを見つめてください。

幸福な人生を送るための目標の立て方

私は、目標を持つことを否定しているわけではありません、目標を持つのは大事なことだと思います。

ただし、大きな目標を掲げ、それに囚われないようにしなければなりません。

そこで、ここからは幸福な人生を送るための目標の立て方を紹介します。

少し頑張れば達成できる『現実的な目標』を設定する

ある程度の年齢になれば、物事を予測するチカラがついています。

ですから、「これくらいのことなら達成できる」と思えるような、少し頑張れば達成できる『現実的な目標』を設定し、それらを確実にやり遂げていきましょう。

そうすれば「よし、これは終わった。」と、しっかりと達成感を味わえます。

人は達成感がないと前に進むことが難しくなりますが、逆に「自分はちゃんと前進できている」と思えば、自然と意欲が湧いて積極的に行動をするようになります。

これを繰り返すうちに、無理をすることなく、いつの間にか大きな事柄を達成できてしまうでしょう。

場合によっては、自分が予測していたよりも大きな成果につながるかもしれません。

私たちは、大きな目標を掲げなくても、現実的な目標をこなしていくうちに大きなことを達成できるのです。

ですから、小さなことでもよいので『達成観』や『成功』を感じるように『現実的な目標』を立て、自分をコントロールすることが前に進むコツです。

大きな目標を持つなら、細かく分割して、意識から離す。

大きな目標を持つなら、目標達成までにやるべきことをできるだけ細かく分割してみてください。

そして、できれば最初の大きな目標は意識から離してください、目標を忘れてしまうくらいが理想的です。

常に大きな目標を掲げていると、日々の小さな行動が無駄なものに思えてしまい、ヤル気が削がれてしまうのです。

ですから、大きな目標を設定するなら、やるべきこと逆算していき、それを『日』単位まで分割してください。

まずは、やるべきことを年単位に分けます、次にそれを半年ごとに分けます。

さらにそれを3ヶ月ごと、そして1か月ごと、最後に1日まで細分化しましょう。

そうすれば、1日あたりのやるべきことが小さなものになるので、無理なく達成できると思います。

野球選手のイチローさんがこんなことを言っていました。

小さなことの積み重ねが『とんでもないところ』へ行くただ1つの道

大きな目標を達成したいなら、日々の小さな達成を繰り返していきましょう。

やることの順番を入れ替えてみる

あなたが目標達成のためにいろいろ考えて立てた計画でも、それが本当に正しい順番であるとは限りません。

大きな目標を達成するための順番が誤っていたら、目標達成が遅れる、または目標達成が不可能となってしまうでしょう。

ですから、なかなか計画が思い通りに進まないと思ったら、一度やることの順番を入れ替えてみてください。

物事には《重要度》と《緊急度》があり、作業が滞るときはこの優先順位が間違っていることがよくあります。

それを適切な順に入れ替えることで、現在の状況が変化する可能性がありますので、何かに行き詰まったときには、作業の順番を入れ替えてみることをおすすめします。

まとめ

人生において『大きな目標』を持つと、幸福度が下がる可能性があるので注意してください。

大きな目標を持たなくても人は自然と幸福になることが研究で分かっているので、無理をして目標を設定する必要はないのです。

しかし、人生に大きな目標を持つのは悪いことではありません。

大きな目標を達成したい場合は、目標をできるだけ細分化し、無理のないように1つずつ地道に達成し続けましょう。

私たちは、大きな目標を掲げなくても、現実的な目標をこなしていくうちに大きなことを達成できるのです。

ですから、少し肩のチカラを抜いて、自然に人生の幸福度を上げていきましょう。

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