【過去に囚われない生き方】仏教と心理学から学ぶ「第二の矢」の教え

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過去の囚われ第二の矢

あなたは今までにどんな失敗をしてきましたか?

例えば、仕事でミスをしてお客様に迷惑をかけた、つい感情的になり言い争ってしまったなど、いろんな失敗があったことでしょう。

失敗をしたとき、私たちは「なぜあんなことをしてしまったのか」「あのとき別の選択をしていれば」と、自分を責めて後悔することがあります。

しかし、いつまでも過去に囚われていると、どんどん苦しい人生になってしまうかもしれません。

この記事では、仏教と心理学をもとに【過去に囚われない生き方】を紹介しています。

自分らしく前向きに生きていくヒントになりますので最後まで読んでみてください。

少しだけ自己紹介

この記事を書いている私『ちょっき』は、お坊さん歴30年。お坊さんに関する裏話や、人間関係の悩みを解消する内容について発信しています。

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過去に囚われる心『第二の矢』

仏教では【過去に囚われた心】に対する教えを説いています。

それが、以下の『第二の矢』という例え話です。

お釈迦(しゃか)様は、

「人は皆、それぞれに《どうしても受けてしまう苦しみ》があり、これが『第一の矢』である。

そして、多くの人は第一の矢を受けたことによって、本当なら必要のない『第二の矢』をつくり出す。

そして、あろうことか、その『第二の矢』を自分に向けて放ってしまうのだ。」

とおっしゃいました。

第一の矢、そして第二の矢というのは具体的に何を指すのでしょうか?

まず、第一の矢とは、いろんな失敗や病気、他人からの侮辱など、思いがけない不幸や苦しみを指します。

これらは私たちの意思とは関係なく起こることが多く、完全には避けられません。

つまり、お釈迦様の言う《どうしても受けてしまう苦しみ》です。

そして『第二の矢』とは、そうした思いがけない不幸や痛みを受けたことによって、自分の中で作り出してしまう《二次的な苦しみ》のことです。

例えば、

  • 「失敗ばかりで私はダメな人間だ」と自分を責め続ける
  • 「あのとき、ああすればよかった」と何度も過去を振り返ってしまう

といったことは、すべて過去に囚われた『第二の矢』です。

お釈迦様は、「第二の矢は自分で自分を傷つけてしまうものだから、自分の心持ち次第で無くすことができる。」と教えています。

【サンクコスト効果】心理学における『第二の矢』

『第二の矢』の教えは、心理学の見地からも説明できます。

心理学には【サンクコスト効果】という言葉があります。

これは、過去に費やした時間、お金、労力などがもったいないと感じることで、合理的な判断ができなくなる心理を指すものです。

例えば、

  • 映画を観て、序盤で「これは面白くない映画だ」と分かったのに、それでも「せっかくお金を払ったのだから」と最後まで観てしまう。
  • 投資に失敗したのに、「ここまで投資したのだから、もう少し粘ろう」と損失を拡大させてしまう。

ということがありますよね。

これらは、過去に失ったものに対して執着するあまり、もっと大事な《今》や《未来》を犠牲にしているのです。

過去に対する執着というのは、自分自身が作り出しているものであり、これが仏教の『第二の矢』とよく似ています。

過去に執着すると、

  • 過去の出来事を理由に自分を責める
  • 不安やストレスが増えて、状況判断や行動に悪影響が出る
  • さらなる失敗や不安につながる

というように、不幸の悪循環に入ってしまいます。

この不幸の悪循環から抜け出すことが、過去に囚われずに生きるための第一歩となるのです。

第二の矢を避けるための具体的な方法

では、どうすれば『第二の矢』を避けることができるのでしょうか?

お釈迦様は、

「私たちが本当に向き合うべきは、《すでに起きた過去》でも《まだ来ていない未来》でもなく【今】である。【今】と真剣に向き合うことで不要な第二の矢を避けられるのだ。」

とおっしゃいました。

【今】と向き合う

【今】と向き合い、意識を集中することで不要な『第二の矢』を避けることができます。

【今】と向き合うために、

  • 今の自分の呼吸や身体の感覚に意識を集中する
  • 今感じている感情をそのまま受け入れる
  • 「過去は変えられない、未来はまだ来ていない」ことを再確認する

これらをすることで、過去に囚われることが減り、今できることに集中しやすくなります。

過去をそのまま受け入れる

自分の過去を受け入れることができれば『第二の矢』を減らせます。

「過去も含めて、これが今の自分だ」と自分を許し、過去をそのまま受け入れることで心が軽くなります。

心が軽くなれば、思考や行動が前向きになるので、過去に囚われた思考は減っていくでしょう。

そのためには、過去の失敗や、そのときの感情を紙に書き出し、頭の中を整理してみてください。

頭の中を整理し、紙に書き出すことで、自分を冷静に客観視することができます。

自分を冷静に客観視できると、その後の対策が分かってくるので、未来に対する思考や行動が前向きになるのです。

未来に対して前向きになれば『第二の矢』を自分に放つことはありません。

今できることから行動する

今できることから行動すれば『第二の矢』は減ります。

当たり前ですが、過去を変えることはできません。

しかし、未来については今の行動で変えることができます。

ほんの少しずつでも構いませんので、今できることから行動に移してください。

たとえ小さな行動でも、それが積み上げれば大きな成果になり、自分で未来を変えることができます。

自分で未来を変えていけることに気が付けば、過去に囚われることはなくなるでしょう。

まとめ

人生には、どうしても受けてしまう苦しみ(第一の矢)があります。

しかし、その後に自分で作り出した苦しみ(第二の矢)は避けることができます。

過去の出来事にいつまでも囚われず、「過去は変えられないから、未来に向けて今できることからやろう。」と過去の自分を受け入れ、前を向いて少しずつ歩き出してみてください。

そうやって『第二の矢』を自分に向けて放たないようにすることで、人生はもっと豊かで穏やかなものになるでしょう。

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