あなたが日頃から使っている『出入口』。
例えば、玄関、駅の改札、店舗のドアなど、出入口にはいろんな種類があります。
じつは、私たちの心の中にも『出入口』があるのです。
そして、心の中にある出入口をどのように使うかで人生は大きく変わります。
本記事では、『出入口』を例えにして【心のあり方】について書いています。
豊かで心穏やかな人生を送るためのヒントになりますので最後まで読んでみてください。
この記事を書いている私『ちょっき』は、お坊さん歴30年。お坊さんに関する裏話や、人間関係の悩みを解消する内容について発信しています。
私たちの『心の出入口』
私たちは日頃からさまざまな出入口を利用しています。
じつは、『出入口』というのは私たちの心の中にもあるのです。
もちろん目には見えませんが、
- 心の入口:入ってきてほしいと思う心
- 心の出口:出してあげたいと思う心
という【心の出入口】が設置されています。
そして、私たちはつい《心の入口》の方にばかり注意が向いてしまいがちです。
例えば、
- 自分の気持ちを分かってほしい
- 言われる前に手伝ってほしい
など、自分が受け取ることばかりに気持ちが傾いてしまいます。
しかし、仏教が大切にしているのは、出してあげること、つまり心の『出口』の方です。
お釈迦様は、豊かで心穏やかな人生を送るためには、まず自分の方から他者へ与えることが重要であると教えているのです。
ですから、あなたもまずは《心の出口》を開くことから考えてみてください。
仏教では『心の出口』を【布施】という
仏教では【布施(ふせ)】という行いをとても大切にします。
布施というのは、一切の見返りを求めず他者へ与えることをいいます。
お金や物はもちろん、笑顔、言葉、労力なども含まれ、見返りを求めず他者へ与えるものはすべて布施です。
見返りを求めないということは、相手への思いやりで行動をしているため、自然と『自分から先に与える』ことが多くなります。
その結果、
- 日頃から相手の気持ちを理解しようとしていれば、相手も自分の気持ちを分かってくれる。
- 日頃から率先して手伝っていれば、自分が困ったときに手伝ってくれる。
というように、自分から先に与えることで、いずれは自分の元へいろんな恩恵として返ってくるのです。
これを多くの人たちができるようになれば、争いごとはなくなり、みんなが豊かで心穏やかに生きていけるでしょう。
また、先祖供養や法事などの《供養》も布施の1つです。
供養をして、亡くなった人に対して感謝や報恩の気持ちを示すことは、自分の『心の出口』を開く行為です。
日頃から誰かに対して感謝や報恩の気持ちがあると、心に余裕が生まれ、結果的に人生の幸福度が上がります。
ですから、何事にも、そして誰に対しても、あなたの『心の出口』を先に開けることが大事なのです。
心理学的にも証明されている『与える効果』
ハーバード大学の研究によると、他者へ先に与えることは人生の幸福度を高め、心理的な余裕を持たせることが分かっています。
見返りを求めず、積極的に親切をした人ほどストレスが少なく、心の満足度が高かったのです。
また、北京大学の研究によると、日頃からボランティア活動をしている人は、病気やケガをしたときの痛みが軽減されることも分かっています。
他人を助けることによりポジティブな気持ちになり、脳からドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。
ドーパミンは【やる気】を生み出す物質として有名ですが、じつは【痛みを和らげる作用】もあるのです。
そのため、日頃から他者へ与えることをしている人は、病気やケガをしたときの痛みに強くなるのです。
このことから、心理学的にも仏教的にも《先に与えること》つまり『心の出口を先に開くこと』が重要であることが分かります。
《関連記事》:人助けは自分の痛みを軽減する!仏教と科学に学ぶ『助け合い』の効果
なぜ『出入口』という言葉なのか
本記事では『出入口』という言葉を題材にしています。
しかし、なぜ『出入口』というのでしょう?
私たちが出たり入ったりする場所のことを『出入口』と呼びますが、べつに『入出口』と呼んでもいいわけですよね?
きっと昔の人たちも《先に与えること》の重要性を知っていたのではないでしょうか。
何事も、まずは自分から先に出して(与えて)あげることで、円滑な人間関係が生まれ、それで生存確率が上がることを知っていたのです。
だから、《出すこと》を優先して『出入口』と呼んだのだと思います。
『心の出入口』は【手動】である
最近の出入口の多くは【自動】ですよね。
自分が近づくだけでセンサーが感知して、何もしなくても勝手に開いてくれます。
しかし、『心の出入口』は【手動】です。
自動ドアのように、勝手に『心の出入口』が開いて幸福が入ってくることはありません。
まずは自分自身で出口を開けないと、何も入ってこないのです。
自分から積極的に、
- 「ありがとう」と感謝を伝える
- 優しい笑顔を向ける
- ちょっとした手助けをする
などのように『心の出口』を開けましょう。
まとめ
あなたの『心の出入口』は今どのような状態ですか?
もしかして閉じてしまっていませんか?
あなたの願いや幸福というのは、ただ待っているだけでは入ってきません。
あなたから先に他者へ与えて、自分で『心の出口』を開けてください。
あなたが開けた『心の出口』は、いずれ幸福を呼び込む『心の入口』となります。
『心の入口』から幸福が入ってきたら、また新たに他者へ与えてください。
そうやって『心の出入口』を頻繁に利用することで、あなたの人生は豊かで心穏やかなものになるでしょう。
※心のあり方で人生は大きく変わります。




